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給与所得者の特定支出控除

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2019.04.08

給与所得の控除についての概略

たまに顧問先の方からサラリーマンのスーツやネクタイ、カバンなど実際に仕事で使っている金額を給与所得から控除できないかと質問を受けることがあります。
会社の役員の方やサラリーマンの方はそういった経費が全く控除されていないわけではなく、給与所得者であれば通常は経費の概算控除として給与所得控除という控除を受けることができます。(なお、役員報酬もサラリーマンの給与も税法上はともに給与所得ということになります。)
しかしながら、実は、給与所得者でありながらその年中の給与所得控除額の2分の1を超える特定の経費を支出した場合は、給与所得控除の代わりに確定申告によりその超える特定の経費の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度があります。
これを給与所得者の特定支出控除といいます。

特定支出の範囲について

特定支出とは、以下のような支出に限定されています。

1.一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
2.一般転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
3.職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
4.職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
5.単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
6.次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
(国税庁のホームページより)

なお、これらの六つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られます。
例えば、給与の年収600万円の例ですと給与所得控除は174万円になります。控除額としては結構な金額になりますよね。また、2分の1というと87万円です。この金額を超える上記の特定支出を自己負担で出していた(会社負担なら会社の経費)場合ということになります。上記のような費用ってよくよく見ると会社負担のケースも多く、なかなか自分で負担することが少ない経費ばかりだと思います。したがって、給与所得者の特定支出控除という制度はあるが、現実的には使いにくい制度であるといえるでしょう。

まとめ

給与所得者にとって。実際かかった経費を控除する特定支出控除という制度もありますが、支出の限定や金額要件が高いこともより、特定支出でない給与所得控除を受けたほうが通常は有利になると考えておけば間違いないでしょう。