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個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除について

COLUMN
2019.04.22

個人版の事業承継税制が創設されました

平成30年の税制改正によって法人向けの事業承継税制の特例措置が創設されたのに対して、平成31年の税制改正により個人版の事業承継税制が創設されています。法人の場合の事業承継は先代経営者が所有する株式をいかに贈与税・相続税の納税負担なく異動させるのかがポイントとなっていました。一方個人事業の場合は事業は個人に帰属し、法人のような株式という存在はありませんので、個人事業で使用されている事業用資産をいかに贈与税・相続税の納税負担なく異動させるのかがポイントとなります。

平成31年の税制改正によって創設された個人版事業承継税制によれば青色申告に係る事業行っていた事業者の後継者として円滑化法の認定を受けたものが、2019年1月1日から2028年12月31日までの贈与または相続により、特定事業用資産を取得した場合は一定の要件を満たす限り、贈与税または相続税の全額の納税が猶予され最終的には免除されます。

対象となる資産について

先代事業者の事業に供されていた以下の資産で、贈与または相続等の日の属する年の前年分の事業所得にかかる青色申告書の貸借対照表に計上されていたものに限定されます。

1.宅地(400㎡まで)・建物(床面積800㎡まで)
2.建物以外の減価償却資産(構築物・機械・工具備品など)
3.自動車税・軽自動車税の営業用の標準税率が適用されるもの(営業用の車両運搬具など)
4.特許権等の無形固定資産

要件について

先代事業者である贈与者の主な要件

1.贈与者である先代事業者が廃業届出書を提出していること又は贈与税の申告期限までに提出する見込みであること
2.贈与者である先代事業者が贈与の日に属する年以前3年間の確定申告書を青色申告書により提出していること

なお、特定事業用資産に係る事業が資産管理事業及び性風俗関連特殊営業に該当する場合は今回の特例の対象になりません。

後継者である受贈者の主な要件

1.贈与の日において20歳以上であること(2022年4月1日以降の贈与については18歳以上になります)
2.円滑化法の認定を受けていること
3.贈与の日まで引き続き3年以上、特定事業用資産に係る事業に従事していたこと
4.贈与税の申告軽減において開業届出書を提出し、青色申告の承認を受けていること

手続の流れ

個人事業承継計画の策定・提出・確認

後継者は先代事業者の事業を承継するための計画を記載した「個人事業承継計画」を策定し、認定経営革新等支援機関の所見を記載して2024年3月31日までに都道府県知事に提出する必要があります。

特定事業用資産の贈与

先代事業者から後継者に特定事業用資産のすべて贈与する必要があります。

贈与後の申告書の提出

事業承継後、贈与税の申告期限(贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日まで)までに、この個人版事業承継税制の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書及び一定の書類を税務署へ低sy津市、一定の担保を提供する必要があります。

継続届出書の提出

贈与を行った後、この個人版事業承継税制の適用を継続的に受ける場合には「継続届出書」に一定の書類を添付して3年ごとに所轄の税務署へ提出する必要があります。

納税猶予が取りやめとなる場合

以下の事項に該当した場合は納税猶予が取りやめとなり、猶予されている贈与税を納付する必要があります。
1.事業を廃止する場合(ただし、やむを得ない理由がある場合や破産手続き開始の決定等があった場合は除かれます。)
2.資産管理事業または性風俗特殊営業に該当することとなった場合
3.その年の事業の売上が0となった場合
4.青色申告の承認が取り消された場合
申告期限に遅れて確定申告書類を提出していると青色申告の承認が取り消される場合があります。

なお、特例適用後の最初の贈与税または相続税の申告期限の翌日から5年を経過する日後、現物出資によりすべての個人版の事業承継税制によって贈与を受けた資産を現物出資して法人成りをし、税務署長の承認を受けた場合は猶予が引き継がれます。