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働き方改革とは何か?その全体像を理解する

COLUMN
2019.05.02

よく新聞やテレビで働き方改革という言葉をよく聞きますよね。そこで今回のコラムは働き方改革の内容について出来るだけわかりやすくコンパクトにまとめて解説していきたいと思います。

働き方改革とは何か

現在の日本は少子高齢化が進むに連れ、生産年齢人口も減少していってます。また、それらは今後さらに加速することが予測されています。そのため、働き方改革を行うことにより高齢者や女性などにも働きやすくすることにより働く人を増やすことを目指しています。
働き方改革は「長時間労働の是正」と「同一労働・同一賃金を基本とした公正な待遇の確保」などを基本に働きやすい環境の実現を目指しています。
「働き方改革関連法」が、2018年6月29日に国会で成立し7月6日に交付されています。具体的には8種類の労働関連法が改正されています。したがって、働き方改革といえば、狭義の意味でいえばこの8種類の労働関連法の改正及びこれに対する対応のことをいいますが、広義の意味でいえばこれらの法律の改正だけにとどまらない日本国の労働人口減少を踏まえた働きやすい環境づくりということがいえると思います。

働き方改革の具体的な内容について

労働時間の上限が規制されます

今回の改正により残業時間の上限が設けられて、原則、月45時間、年間360時間が上限となります。だいたい1日当たり2時間の残業のイメージですね。
例外としては臨時的な特別な事業があった場合、さらなる時間外労働が認められます。1ヵ月で100時間未満(休日労働を含む)、複数月で平均80時間以内(休日労働を含む)、1年で720時間以内まで認められます。ただしこの例外であるさらなる時間外労働は出来るのは、年間6ヵ月までに限られます。
法定労働時間(1日8時間、1週40時間、こちらに改正はありません)を超えて時間外労働させる場合は、三六協定という労使協定を結ぶ必要がありまが、この三六協定で定められる時間外労働の上限については従前、法律上上限がなく行政指導のみでした。これに対して今回の改正により上限が設けられた形になります。また、これらの時間外労働の上限に関する規定に違反すると罰則が科されることとなります。
また、自動車運転の業務、建設業、医師などについては改正法施行後5年後に上限規制を適用、新技術・新商品等の研究開発業務に従事する者については医師の面接指導などの健康確保措置をとることを条件に定期要除外などなど上限規制の適用猶予・除外する事業・業務があります。

年次有給休暇の取得が企業に義務付けられます

従前も労働者の権利として年次有給休暇が付与され、その取得をすることは認められておりました。しかしながら、労働者が自ら申し出て取得することが原則となっておりましたので、申し出がしにくいという問題がありました。そこで、今回の改正により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年次有給休暇のうち年5日は会社が労働者の希望を聞き、希望を踏まえて時季を指定して取得させることが義務化されました。この指定する時季は年次有給休暇の基準日より1年以内とされています。また、この年次有給休暇の付与義務に違反すると罰則が科されることとなります。

労働時間の客観的な把握の義務化

従前も労働時間を客観的に把握することは規定されていましたが、裁量労働制が適用される人や管理監督者は対象外でした。そこで、今回の改正では、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含め、全ての労働者の労働時間の把握を客観的に行うことが義務付けられました。

月60時間を超える残業の割増賃金率が大企業・中小企業ともに50%以上になります

2010年に施行された労働基準法により時間外労働が1カ月60時間を超える場合の割増賃金率は50%以上の割増賃金率で払うこととされていましたが、中小企業については従前、この規定の適用が猶予されていました。しかしながら、今回の改正によりこの猶予措置が廃止され、中小企業についても1カ月60時間を超える場合の割増賃金率は50%以上の割増賃金を支払わなければならないこととなりました。2023年4月1日より適用されます。

フレックスタイム制の拡充

フレックスタイム制とは事前に一定の総労働時間を決めておき、その範囲内で労働者が日々の始業及び就業の時間を自由に決めて働くことが出来る制度です。この事前に決めておく総労働時間のことを精算期間といいますが、従前はこの清算期間の上限は1ヵ月までとされていました。しかし、今回の改正で精算期間の上限が3ヵ月までとされました。3ヶ月の中で労働時間の調整が出来るようになりましたので子育て中の労働者が夏休みなどに労働時間を減らしたり、入院中の家族のために特定の月だけ労働時間を減らしたりなどより柔軟な働き方が可能になると考えられます。

高度プロフェッショナル制度の導入

高度な専門知識を持ち、一定の年収要件をクリアした労働者を対象として一定の健康確保措置を講ずることにより、労働時間・休日・深夜労働の割増賃金の規定を適用しないという制度です。

勤務間インターバル制度が努力義務として規定されました

勤務インターバル制度とは、前日の就業時間と翌日の始業時間との間に一定時間以上の休息時間をとる制度です。十分な生活時間や睡眠時間を確保することを目的としています。ただし、この制度の導入は努力義務なので、現時点で導入が義務化されているわけではありません。

正社員と非正規社員の間での不合理な待遇差の禁止

今回のパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者などの非正規社員と正社員と間の給与・賞与その他の待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。もちろん、正社員とパートタイム労働者では業務の内容やその責任の範囲、専門性、転勤や配置転換が可能か否かなど様々な状況が異なりますから、これらの状況を踏まえたうえで待遇が異なるのは当然といえます。しかしながら、これらの職務内容などの違いを踏まえたうえでも、それぞれの待遇の相違が不合理である場合は待遇改善をしなければいけません。中小企業などではこういった職務内容と待遇については社長の一存で決めているようなところも多くあると思いますが、今後はきちんと人事制度及び給与制度を整理し、非正規社員と正社員の職務内容などと待遇の差について明確にしていくことが求められると思います。

待遇に対する説明義務の強化

今回の改正により、非正規社員は正社員との待遇差の内容や理由について、雇い入れ時や、非正規社員から求めがあった場合には事業主はその内容や理由について説明する義務があることが規定されました。

行政指導や行政ADRの整備

上記の「正社員と非正規社員の間での不合理な待遇差の禁止」や「待遇に対する説明義務の強化」を担保するために都道府県労働局などの行政において事業主への助言・指導や無料・非公開の行政ADRの規定が整備されています。なお、ADRとは紛争を裁判をせずに解決する手続きのことを言います。

働き方改革法の施行スケジュールについて

働き方改革法の施行スケジュールについては以下の表のようになっております。
なお、ここでいう中小企業の範囲は以下の通りです。
小売業・・・資本金の額が5,000万円以下、または常時使用する労働者数が50人以下
サービス業・・・資本金の額が5,000万円以下、または常時使用する労働者数が100人以下
卸売業・・・資本金の額が1億円以下、または常時使用する労働者数が100人以下
その他の業種・・・資本金の額が3億円以下、または常時使用する労働者数が300人以下