会計の使い手になるための第6弾 借入金の増減に注目する
借入金の増減に要注意
「会社の税金は極力節税したい」と多くの経営者の方は考えていると思います。
また、一方で「毎月の借入金の返済がしんどい、借入金はどんどん返済して会社の借り入れを極力軽くしたい」と多くの多くの経営者の方は考えていると思います。
しかしながら、この2つの考え方は当然のことながら矛盾するということは明示的に認識されていますでしょうか?
借入金の残高を比較
前期の決算書の借入金の残高と今季の借入金の残高を比べてみてください。利益も出て事業も順調で借入の返済を順調にいっており借入金残高が順調に減っているということであれば問題はないと思います。
一方で前期の借入金の残高に比べて今期の借入金の残高が増加しているという方は要注意です。
今年将来を見据えて大きな設備投資等したというような明確な目標をもって行った借り入れによって借入残が増加したということであれば、もちろんリスクはありますが、経営判断の結果として行った行為としては問題はないと言えるでしょう。
しかしながら、利益を出さずうまいこと税金も出さずに済んだかわりに今期新たな借り入れをして借入残が増えたような場合は要注意です。
借入金は利益を出して税金を支払って残ったキャッシュで返していくしかありません。
利益を出さず、税金を払わなかった代わりに新たな借り入れによってしのいでいるというのは、いわば借り入れの返済を新たな借り入れでしのいでいるという状態です。
この後税金を出さずに税金も払わずにうまいことやっていこう(実際はうまいやり方では全くないのですが)と経営者の方が考えているとしたらこれは大変危険な状態です。
今後、毎年の決算書の借入残高を経ることはありません。現在の借り入れの返済を新たな借り入れで行っていると当然利息も発生していくわけですので今後も借入金の残高は増え続けるはずです。
正に黒字倒産の危機です。
毎月、キャッシュフロー計算書をチェックする
キャッシュフロー計算書は損益計算書の税引前利益からスタートして営業活動のキャッシュフロー、投資活動のキャッシュフロー、財務活動のキャッシュフローを見ながら貸借対照表の資金残高につなげていく書類です。つまり、会計上の利益がこの数字なのに貸借対照表の資金残高がこの数字なのはどうしてかについて明らかにする書類です。会社の資金状況を把握するのには最適な書類です。経営者の方はこの書類を毎月見て自社の資金の利用状況にうてい把握しておく必要があります。
まとめ
借入金の元金は利益を出して税金を支払って残った資金で返済していくしかありません。節税・節税に腐心するよりは、出来る範囲で行える適度な節税を採択し、会社の資金繰りをよくするために毎月キャッシュフロー計算書を活用していきましょう。